映画、本など。心動かされたこと。

日々を豊かにするきっかけづくりになれば。映画・本メインにもろもろ綴っています。

フリーで生きるバイブル「ない仕事の作り方」/2018年 みうらじゅん著

概要

「マイブーム」や「ゆるキャラ」など、数々の世の中を巻き込むうねりを創ってきたみうらじゅん。成し遂げてきたこれまでの事例を踏まえて、それを生み出す心構えや方法などを分かりやすく記した本。

「マイブーム」はそもそも、みうらじゅん自身がハマっているものに光をあて、世の中に広めること、を指す言葉だった。次第に、世の中が「マイブーム」というキーワードにハマり、その解釈を拡げて使うようになったという(そういう状態こそが「ブーム」だとも述べている)。

他にも「ゆるキャラ」を広めた仕掛けや、はなまるマーケットで放映された全国のグッとくる崖を探求する「グッとクリフ」の仕掛けなど。自らを『1人電通』と呼ぶみうらじゅんの、それぞれに対する愛と地道かつ大胆な取り組みが紹介されている。

 

みうらじゅんは「ほぼ日の學校」でも熱くベンチャービジネス論を語っている

 

Recomend Points

究極のポジティブワード「そこがいいんじゃない」

みうらじゅんが仕掛ける基本的なアプローチは、面白くなる可能性を秘めているけど光があたっていないもの・ことを見つけ出し、インパクトのあるフレーズを考え、あちこちの媒体で紹介することといえる。本稿では、その取り組みの中で心がけることや、進め方などが記されているので、その辺りは必読。

何より感銘をうけたのは「そこがいいんじゃない」と、自身を鼓舞するポジティブワード。

光をあてる対象には、あえて一般的に違和感や嫌な感じがするもの(もちろんそれだけではないが)を取り上げることが多いという同氏。心の中で「つま、、(らない)」が浮かんだら出たら全力で「そこがいいんじゃない」と肯定する。放り投げそうになるところを、自己洗脳して継続する、ポジティブマインド維持の手法。コレ、仕事含め人生すべてに使えると思う。

好きになる、説得力を持たせるための物量

光をあてたいものを好きになるために、みうらじゅんはとにかく収集するという。自身を『無駄な努力家』と呼び、各地を飛び回り、集められる限りの収集を行う。

ゆるキャラ(当時はご当地マスコット)がいつ出てくるか分からない、各地域イベントに足しげく通い、バスが日に1本しか通らない場所も厭わずに出向く。だからこそ、他人への説得力が生まれる。何より、その過程で同氏自身がそれに愛着を持ち、どうしても広めたいと思うようになるという。

[本稿より引用]

好きだから買うのではなく、買って圧倒的な量が集まってきたから好きになるという戦略(中略)大量に集まったものを目の前に出されると、こちらのエレクトしている気分が伝わって、(人は)「すごい!」と錯覚する

もはやドキュメンタリー、般若心経を看板文字で再現

般若心経の278文字を街中の看板文字で構成する取り組みを、みうらじゅんは5年かけて実現。駐車場の『空あり』から着想し、時には1文字のために長崎県までトンボ帰りで弾丸訪問することもあったという。2007年にそれをまとめた『アウトドア般若心経』を刊行。成し遂げるってこういうこと、と思い知らされる。