映画、本など。心動かされたこと。

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甘じょっぱさが癖になる折詰弁当《白詰》/日本橋 弁松総本店

それはある日、いつもより疲労感を感じた日。東京・日本橋のデパ地下で夕飯に購入したのが始まりだった。

それまでも店の前は通っていた。ただあまりに潔いそのフォルムに、デパートの雰囲気に浮足立ったふわふわした気持ちで購入するのは気後れし、足を留めても購入したことが無かった。その日は無性に惹かれ、残っていた最後の1個を滑り込みで購入した。

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       白詰(白飯弁当)1,037円

 

フォルム以上に潔い、伝統の甘辛味付け

食べる前までは、正直白飯の割合が多い気がしていたが、食べ始めたらなるほどと納得する。おかずの味付けが総じて甘じょっぱく、白飯に良く合う。

店のHPを見に行くと、濃口醤油を使った「江戸から続く甘辛の濃ゆい味」こそが、弁松の弁当の味とのこと。椎茸、タケノコなどの野菜の甘煮は特に際立っている。「甘煮と書いて「うまに」」と読む。特徴的な甘じょっぱい味に仕上がっている。

好き好きはあると思うが、個人的にはどこか懐かしさを感じて、癖になる味。と言って、おふくろの味の懐かしさとは違う、もちろん家庭料理からは一線を画す。

甘辛の味付けの奥にはそれを支える出汁の風味を感じ、何より仕事の丁寧さを細部まで感じられる。職人が毎日手焼きしている出汁たっぷりの卵焼きも、秀逸。白飯も旨い。(折詰弁当なので)常温保存の状態で、最高のパフォーマンスを出すように計算されている。

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弁松総本店HPより

弁松総本店は「現存する中では日本で最古の弁当屋」。文化7年(1810年)に開業した「樋口屋」という食事処から始まったという。3代目の松次郎さんの時に食事処から折詰料理専門店に変え、「弁当屋の松次郎」を縮めて「弁松」という屋号にした(嘉永3年・1850年)。徳川御三家の家来も注文に来ていたという。

日本人を形作った(今も色濃く影響が残る)江戸の文化を支えてきた弁当屋。細胞レベルで触れてきた味なんだと思う。

次は、弁松の総菜が一堂に味わえる「並六」が買えますように。

 

創業:1850年(前身の樋口屋は1810年

所在地:日本橋

 

弁松総本店HP

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